幾億の情報のなかを泳ぎ,そこから新しい知を発想することもある。その知が公開されて,さらなる知を生み出す。その積み重ねは,雲を突き抜ける万丈の塔となる。ワイヤードによる,知の向上,という塔。その土台は,情報の自由な共有,という理念だ。
バージニア大学の教授が,自作のプログラムで,学生からのレポートをスキャンしてみると,盗作と思われるものがたくさんみつかり,学生の自主管理委員会に報告された。一部の学生が研究所のコンピューターに自分のレポートを保存し,それが盗用された可能性がある。学生は,カットアンドペーストで,楽々とテクノロジーを使い,不正が簡単になった。
夏休みが終わって学生や生徒のレポートや宿題の解答などをみてみると,どうも似たようなものが多い。不審に思って問い詰めてみると,ウェブ上にある情報の丸写しだった,というのが昨今の学校ではよくあることらしい。なるほど調べてみると,ヤフーで検索をかけて,いちばん上にあるサイトの情報が,それらの解答欄に書き込まれている,とのこと。まぁ,楽だしね;-P。
だが,情報の共有とは,盗むことではない。ナップスターを盗っ人の道具としかみられない考えが的外れな理由はそれだ。ナップスターで共有された音楽は,私の手元で「私のもの」になったり,「私の所有物」になるのではない。それもまた共有物となり,自由にアクセスできるものとなる。レポートの題材や,問題の答えは,きっと世界のどこかに掲載されているだろう。それを利用するのは自由だ。だが,それは「あなたのもの」ではない。それであなたがなんらかの評価を得ようというのは間違っている。それはナップスターでダウンロードしたファイルをCD-Rに焼いて,あたかも本物のCDであるかのように売って金儲けするのと一緒だ。せっかく共有されている情報を,そんな身勝手なことに使ってはいけない。それを発展させなければ,ここ,である意味がない。
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